ユーザー車検を通してみた

フェラーリのコックピット

乗り換えのタイミングを逸する話

少し前に「釣り用車」としてXBEE(スズキ)を取り上げ、かなり乗り気になっていた。

現在使用中の車の車検が迫っていた事もあり、ボチボチ買い替えかと思っていたが、なんとなくズルズルと時間が過ぎる。

XBEEに乗り換えるにしても納車まで時間がかかりそうな事もあり、とりあえず現状車両の車検を通すことに。



しかしいつもこのような繰り返しで、一旦車検に通すと「まあ、次の車検までゆっくり考えるか」ということになって何年が経過しただろうか?

その上、車検を通してしまうと「まあ、このままで良いのではないか、十分だ、行けてるじゃん、問題あるか?ないな」と、こんな考えになってしまう。

現状で大した不満がないし、まだまだ実用性として問題がないものを手放して新車を入手することにどれくらいの価値があるのか?これを考えてみると現状維持で良いのではないか、と最終的にはそう思う。

私自身は車に趣味はなく、実用性が最優先され、所有する楽しみといったことは全くない。

まあ、そんなことだから目の前に「ちょっとイイ車」が現れてもなかなか手が出ない。

とは言っても現車の走行距離はすでに13万2千キロ。年数にして13年目突入である。(とまあ、こうなるのは前述のような経緯だから)

ユーザー車検に思う(金と合理性の話題)

さて、車検であるが今回はあることがきっかけになり、車を自分で車検場に持ち込む「ユーザー車検」をしてみた。

そのきっかけというのは、古い友人(あるときまで同業者)とネット上で偶然に再会したおり、その話の中に「ユーザー車検は超簡単だよ」ということがあった。



さて、その彼は年収億単位の金持ちであって、ポルシェやフェラーリなどを所有していた。(先にポルシェで後からフェラーリに乗り換えたと思う)

ところがだ、そのフェラーリをユーザー車検として自分で通しているらしい。

この話を最初に聞いたときには思わず笑ってしまったが、状況からしてこれは明らかに直接的な「金銭的な節約」の問題ではないことは明白。(いやある意味として深掘りするとやはり金の問題と言えるが)

彼のような高収入な人間が、車検を業者に任せず自分でするということは、業者に任せてその対価を支払う合理性がないと判断しているのだと思われた。

ある種の金持ちの特性として「不合理な金の使い方をしない」が挙げれられる。

だから金持ちになる。

例えば彼は海外への移動で飛行機を使ってもファーストクラスは使わない。彼の判断としてそこに合理性なしということらしい。

「寝てしまえばエコノミーと変わらんで」

これはある時期、彼と私の共通の師匠が言っていた言葉。その通りである。

ファーストをやめてビジネスにしただけでも、普通の人のひと月の生活費くらいは出てしまう可能性はあるからなあ。

そして更には彼の業種として、放っておいても事業が回り「自身の拘束時間=金」ではないことが挙げられる。

この場合には時間を金で買う目的で業者に車検を依頼することはないわけだ。

こればかりは金で時間を買う必要のない人間の特権である。

とまあ、こんな具合であったから、フェラーリのようなややこしい車でもユーザー車検できるなら、私のような量産大衆車でならなおさら自分でやらない手はなかろう。

私が信頼している彼の合理性に従ってみることにした。

ネット予約からはじまる車検

自分にとって都合が良いと思われる車検場にネットで予約を入れる。日本全国どこでやってもかまわない。

あとは書類のいくつかを揃えて車検ラインに並び、順繰りに押し出されるだけである。

書類と言っても難しいことはない。

車検場に隣接する天下り法人のような「〜会館」といったところで重量税、自賠責保険料、車検そのものの印紙代などを払い、サンプルに従って書類に記入である。

都道府県に支払う「自動車税」に関しては、それをネットで支払っている場合には、自動的に車検証とヒモつけられていて、領収書こそ不要である。

車検で調べられること

これ、ユーザー車検についてネットで調べれば簡単にわかることだが、実際に自分で通してみると声を大にして言いたくなることがある。

そのひとつとして「車検のための整備」さえできていれば車検は通るということだ。

当たり前のようだがこれを忘れている。

例えば、エアフィルターやエンジンオイルが真っ黒だったとしてもそんなことは車検それ自体には関係ないのである。

はっきり言って、公道上を走ることにトラブルを抱えていない車であれば、100%車検は通る。

もちろん、排ガスに異常があったり、おかしなところからオイル漏れがあったりしては車検に通らないが、これは単に実際のトラブルであって車検の問題ではない。

ちなみに、ディーラーや業者任せに車検をしていたときのことを思い出してみよう。

車検前の点検で、ここを直さなければ車検に通らないトラブルがあった、という事例がどれほどあるだろう。

私は今回のユーザー車検までに、通算15回以上車検の経験があるが、そんなトラブルはない。トラブルがあったとしてもそれは車検と無関係なときに起きていてすぐに治している。治っていれば車検は通る。

また、そのトラブルが車検と関係ない箇所であれば、そのトラブルが元で車検に通らないということはない。

なお、車検前に自分の車が正常かどうか、格安でテストできる「テスター屋」なるものがある。用心するならこれをやり、修理が必要ならそれをしてから車検に通せば良いのである。

その車がフェラーリだろうがカローラだろうが同じことである。普通にトラブルがなければ誰がやっても車検は通る。

車検を通して思うこと

初体験として最初のハードルはちょっと高いかもという「気分」は確かにある。

「え?これってどういうこと?」
「担当者の合図がよくわからんぞ」

みたいなことは確かにある。

しかし通してしまえば「こんなものか」である。もう一度やれ、と言われれば「いいよ、簡単だよ」ということになろう。

そして、車検とは端的に言って「徴税システム」以外の何物でもない。

ウインカーやスピードメーターの機能を調べることにかこつけ、ユーザーの首根っこを捕まえて税金を払わせているとしか思えない。

そしてもう一つは天下り組織を養う資源確保としてだ。組織それ自体は社会に必要性がある部分もあり、そこで働く人々を非難しはしないが、そこの長に法外な退職金を払う気にはなれない。

車の基本的な安全運行、そして徴税は本来は別なことではないのか?

そしてあの、悪名高い「ガソリン税」はどうだ。ガソリン税込みの価格になぜ消費税の1.08をかけるんだ?ここだけ見ても二重課税になっているのは明らかだが、是正される話はない。

ユーザー車検の結論 「腐っとるぞこの国」

どうということはない、作業の8割以上は税金を払いに行くという感覚しか残らない。(それもそのはずで、税金と印紙代、保険代しか払わないから)

まあ忙しい人は普通にディーラーでも業者でも使って車検を通せばよかろう。

それから少しだけ残念な気分もある。

それは車が車検から帰ってきた、という新鮮味がないこと。自分で乗って行って、何も変わらずまんま帰ってくるからね。

ちなみにこの日、午前中は免許の更新、そして午後にはその足で車検という段取り。そういうこともあって「徴税された感」がすごい強い日だったことを付け加えておく。

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