XBEE (クロスビー:スズキ)を見に行く
山の渓流に釣りに行くにあたり、前々から車を探している。
- 狭いところを走り、狭いところに止められる。(小さい車)
- 200〜300km程度なら楽に走れる。
- できるなら四駆。ある程度の最低地上高があること。
- 乗り降りが楽。
- 荷物の積み下ろしが楽。
- 完全に車中泊できればそれに越したことはない。
いくつかの候補を挙げていたが、なかなか「これだ」が決定できずにきた。
ここへ来てスズキ自動車がXBEEという車を出した。
ネットの画像で見た限り、また実物発表以前の下馬評では「大きなハスラー」という表現であったが、現物を見ると一発で「これはハスラーじゃない」と言える。もう対比は無意味だとすぐわかる。
なお、軽四のハスラーは、その小ささ、にも関わらず内部が広い、四駆設定があることから釣り用車の候補にあったが、何せ数百キロ移動にはちょっと苦しいと思って候補から外しておいた。
XBEEの外観
実物を見ると、ネットやカタログの画像で見るよりかなりボリュームがある。ボンネットの位置が高く、湾曲を持たせたデザインはかなり迫力がある。
(迫力がありながら、可愛らしくもある、という稀有なデザインかも)
ドアパネルは立体的でこれも迫力を醸し出しており、モリモリと力強いイメージにできている。
車両サイズとしてA〜Bセグメントのコンパクトに分類できるが、背が高く、ボンネットの高さからしてかなり大きく見える。
遠くから見ると気づかないかもしれないが、そばでみると「おおっ」と思う感じだ。
そう、ボリューム感十分であるが、本当はコンパクトなのである。
そして超短い前後のオーバーハング。これはイイ。
これ、日本の山の渓流で使えますぜ。
またミニミニバンのソリオあたりに近い全高があり、乗り降りに頭を下げて滑り込む、という感覚がほとんどない。これは楽だ。(筆者の身長:172cm)
川を歩いて歩いてヘトヘトになり、車に戻って乗り込みさあ移動だ、とこんなシチュエーションでも楽々だろう。
リヤゲート(外観についての追記)
これが何で大切かと言えば、それが釣り用車であるから。
リヤゲート(ハッチ)を開けたとき、それが雨よけになるかどうかが大切なところ。
できればミニバンのようにリヤが垂直なデザインだと、かなり広い面積で「ひさし状」にゲートが上がる。これは格好の雨よけであって、この下で雨に濡れずにウェーダーの着脱できようものだ。
雨に降られているときの着替えではこのタイプのリヤゲート(ハッチ)が大変役立つ。
幸いにも、XBEEのリヤゲートはソリオまでとは言えなくともそこそこに雨よけになるリヤゲート。
これがスポーティーなデザインの車だと、そのリヤゲートはかなり寝かした構造になっており、ゲートを上げても「雨よけひさし」になる面積が少ないのだ。
XBEEの内部
インパネとかダッシュボードのデザインについては、これはそもそもが「釣りに使えれば全部目をつむれる」という状況であるから、この際は評価なし。
ただ、MZというグレードは撥水処理したシートなのでこれは安心。
濡れたウェーダーでそのままシートに座るわけにはいかないだろうが、何かと濡れ物を扱う釣りには良い仕様。
それにシートはフロント左右席どちらもシートヒーターがあり、寒い時期にはありがたいだろう。
シートの配置はソリオ的で前後左右にウォークスルーである。
これ、楽に釣りの移動をするためにかなり良い設計である。前後の席を車の内部で移動できると、ちょっとした「物を取る」という場面で非常に楽。
シートはフルフラットになるか?
完全な車中泊とまではいかないまでも、現場に早めについてちょっと一眠りしたいと思った時など、車のシートが簡単にフルフラットになるとありがたい。
しかしXBEEの場合、残念ながらそのままでは無理。というか普通の車レベルである。
ただし、オプションで車中泊可能になるようなクッションが用意されているのでなんとかなりそうである。(少しばかり高額)
また、ことによってはサードパーティーがなんらかの製品を出してくることも考えられる。
ドライブした雰囲気
外観の雰囲気からして1.2tほどありげに見えるのだが、XBEEは四駆仕様でも1t。
この車重であるから、1リッターのガソリンエンジンにターボ+電動のアシストでパワー感は十分である。普通に走れて問題ない。長距離でもストレスはなかろう。
何せ楽に釣り場に行ければそれで良いから、この辺りは非常識でない限りは評価の外。(そんな非常識な車もそもそもが、まあないのだが)
時折目にする評価記事にある「こもり音」。これはある程度の速度で走行中に感じるようだが、これは確かにあるかもしれない。
しかしながら、あり得る程度のこと。これも評価外。何から何まで満点でなくたってかまやしない。(どっちみ妥協の産物である)
燃費的にもカタログデータとして今時の車。これも普通であればよしとして評価外。
それから、秀逸なのがスズキお得意のアイドリングストップからのエンジン再始動。これはいつエンジンがかかったのかわからないほどにスムースで静かである。(普通のセルモーターを使わずに駆動用モーター兼ジェネレーターがまんま再始動に使われるらしい)
ちょっと惜しいのは、アダプティブのクルコンがないこと。XBEEの場合、車速を一定に保つだけのタイプのクルコンしかない。
長距離移動にはアダプティブが欲しいところ。
全方位モニターカメラ
オプションですがこれは良いです。車の四方向のカメラ画像をもとに上から俯瞰した画像をモニターできる。
狭いところに駐車する、切り返しUターンなど山の釣りではしょっちゅうですからきっと重宝する。
可変レシオのステアリング
まあだいたい良い。これで良い。普通に走っていけるからこれも評価外。なくても構わんけど、というレベル。
これに絡めて書けば、背の高い車にしては交差点の右左折など、意外にロールしない方かも。
最後に
以上急ぎ足でXBEEを見てきたが、これ、内外のデザインさえ納得できれば山の釣りには使える車だと思う。
現在のところ最有力候補。