あるインド人が日本で買った物
仕事上での知り合いにインド人がいる。
彼は日本に住んで仕事をしているが、一時帰国のおりに持って帰りたい日本製品があるという。それをどこで入手できるのかを僕に尋ねたわけだ。
聞いてみると彼が求めている日本製品とは、なんと「墨」である。そう、書道のときに硯(すずり)で擦って使う固形の墨。
はあ、何で「墨」なんだ?と彼に尋ねた。
彼によると墨を自分で使うのではなく、いわゆる贈答品にする目的らしい。それを贈る相手というのが、彼が日本に来てビジネスを行う上でのキーパーソンらしく、インド王族に絡む人脈ということだ。
そしてそのハイソなインド人のたしなみに「日本の高級墨で仏画を描く」ということがあるそうな。それが流行りなのか伝統なのかは聞かなかったが、仏画を描くには「日本の高級墨」はとにかく良いと思われているそうな。
そもそもが、インド発祥のブッダの思想が中国へ渡り、日本へ伝来し、そして日本からは何故か墨が仏教発祥のインドに帰る・・・なんじゃそれ?である。
「墨で仏画を描く」ということであるが、もしかするとヒンズー教の神々のことかもしれない。
そこでとにかくインド人の彼には、たまたま僕の知り合いにいた書道用具全般を扱っている人物を紹介しておいた。
数日後、その書道用具の店から連絡があった。例のインド人が高級墨を三本注文したという。
高級な墨はそこそこな値が付いていることは知っていたが、彼の注文はなんと!!一本25万円の墨。そしてそれが三本である。
まあ、それを贈る相手がインドの王族がらみでは驚きもしないのかもしれないが。
ちなみにその墨は製造に三年を要し、注文を受けた製造元は品物の輸送が宅配便でなく自ら店に持参するらしい。なぜ持参なのかといえば、宅配便だと品物にどんな衝撃が加わるか予測できないためだという。その墨はそれくらいデリケートな代物らしい。
世の中には、門外漢には予想もつかない驚きが沢山あるものだ。
もちろん、私らのフライフィッシングでも「門外漢には予想だにしない」不思議なことが山ほどあるだろう。
- えらくぶっとい釣り糸を使っているとか
- 釣ろうと思うならなぜ餌を使わないのかとか
- 遊漁料を払っているのに釣った魚を逃すとか
- ただただ糸を収納できれば良いリールが何でこんな値段かとか
- これをするために何百キロも車を運転しているとか
- なんで今さら竹の竿なん?とか
- はっきり言って何が面白いのかわからんとか
外からフライフィッシングを見れば、まあ大体こんな風ではなかろうか。