エルクヘアカディス再考
SNSを通じて知り合いになったプロタイヤーの「まえかわえいいち」氏による論考で面白いものがあった。
それはエルクヘアカディスは元々がボディハックルの押さえにコパーワイヤーが巻かれていたという話。
現在のエルクヘアカディスはコパーワイヤー巻きの工程が省かれている。強度以前に浮かせる目的からコパーワイヤーは不要に思えるのは確か。
はて、これはどういうことか?と思ったが、氏のタイイング動画に付けられた解説を見て納得。
詳しくは動画ページにあるが、解説をかいつまんで書くと以下の通り。
- 元々エルクヘアカディスはウエットフライとして巻かれていた。
- ところが1970年代からドライとした使われだした。
- その頃にコパーワイヤーが省かれた。
- しかしカディスの浮き方を見れば、ハックルによって浮いている姿勢ではなく、ボディーはほとんど水面下にあり、エルクヘアの浮力で水面に張り付くのが正解ではなかろうか。
- その浮き姿勢を作るにのコパーワイヤーは必要だった。
どうでしょう。
これはかなり納得いく説明だ。
僕自身、現在のエルクヘアカディスがボディハックルで高浮きした姿勢はカディスでなくメイフライ系に見えやしないかと思っていた。
そしてそのような高浮きエルクヘアカディスを使っているうち、ボディハックルの浮力がなくなり、エルクヘア部分で浮いているとしても普通に釣れるのは確か。
ボディハックルで高浮きしているときと、ボディを沈めてエルクヘア部分で浮いているときは魚からは別なフライに見えているのではなかろうかと思えるわけだ。
エルクヘアカディスの使いにくさ
以下は僕自身の感想。
エルクヘアカディスそれ自体は釣れるフライとして不動の位置にあるのは確か。釣れるしキャストも楽だ。
しかし個人的には「浮き」を維持するのに苦労するタイプのフライだと感じてていた。
フライが新しいうちにはボディハックルによって高浮きができる。これはこれで釣れる。(メイフライ系として)
ボディハックルの撥水性が飛んでエルクヘア部だけで浮いても釣れるには釣れる。(カディス系として)
ところがそれからエルクヘア自体の撥水性が飛ぶと、これをなかなか元に戻せない。
水を吸ったエルクヘアはできるだけ水分除去をしても重くなりがち。ボディー部とそのハックルの撥水処理をしても重くなったエルクヘア部を支えるのが大変なのだ。
このような事情から、乾燥状態から少し使うと思ったような浮きをコントロールしにくくなるのがエルクヘアカディスだと思っている。
コメント
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エルク
なぜかエルクに魔力を感じドライパターン以外にエルクを完全に沈めて使うウエットフライパターンがもっとあればと思考する今日この頃です。(笑い)