スズキ・スイフトスポーツ(MT)試乗記

スズキ・スイフトスポーツオフィシャルページ

2011-2016年型(ZC32S)

何を今更という感じもあるが、マニュアルミッション車である。

これは釣り用としてよりも普段の下駄代わりとしての用途が主になるだろう。

なぜわざわざマニュアルを考えたかといえば、脳の老化防止になるのではないかと考えたから。これを日常の足にすることになれば乗って面白く、脳トレにならないか?

まあ、この車で釣りに行けないわけでもない。基本的に普通のコンパクトカーであってそれなりなラゲッジスペースもある。イグニスよりか広いほどである。

また、僕の場合釣りの道中のドライブがかなり楽しみで、ワインディングになると速度が上がってしまう方だ。それでせっかくならスイフトスポーツも選択肢に入る。まあ操る楽しみということだけであって絶対的な速さを求めているわけではない。その意味ではスイフトスポーツでなくスイフトRSのMTでも構わないと思っている。

しかし、マニュアル車の場合には釣りからの帰りがちょっとおっくうかもしれない。歩き回ってへとへとな上に、ことによってはそれに睡眠不足が重なっていたりする。そんな帰り道、マニュアルで渋滞にでもはまろうものなら足が攣ってしまうに違いないのだ。

シフトフィール

これが、試乗記によるとそこそこに絶賛気味。がしかし、個人的には普通じゃないかと。

そもそもがFF車のワイヤーリンケージによる遠隔操作のシフトレバーである。どうやってもFRの縦置きミッションMTのようなダイレクト感はない。これは仕方のない部分ではある。個人的には諦めている。

「スパっとシフトが決まってスッとギヤが入る感じが最高!」とかという表現でこの車のシフト感を褒め称える書き込みが散見されるが、そんなことは特に感じない、普通である。どんなに絶妙なタイミングのクラッチ、アクセル、シフト、セレクトのタイミングだろうと、シフトレバーはグニョっとしか入らない。だってどうやってもワイヤーの遠隔操作だもの。

もっとスパっと感がある物を言えば、昔の「コラムシフト」の FRマニュアルのセダンの方がよほどスパっとしていて、ギヤの入った感などもっとくっきりしているほどである。昔のタクシー、小さめのトラックやダンプなんてそうだね。

それと、かなりなショートストロークに仕上げられているという話であるが、これも「そうかな?」という感じ。個人的には普通。もっとショートでも構わないが、まあこれでも妥協できる。

それより、個人的な好みとしてはレバーが生えている位置それ自体が低すぎると感じる。元が2ボックスのハッチバックFF実用車であるから無理もないのだが、このままでシフトレバーを伸ばしてノブ位置を上げようとすればさらにストロークが大きくなるしね。

まあこの点はスイフトスポーツが生まれながらの生粋のスポーツ車ではやっぱりないということで諦めよう。それでも総合的にまあまあではないか。

クラッチフィール

クラッチ操作に必要な踏力は小さい方。何らかのアシストが付いているのかどうか?その点は不明だが、まあ1.6Lクラスならこんなものなのだろう。軽いから左足は疲れはしないだろう。

ただ、半クラが始まって完全接続までの微妙なフィールが左足に伝わってこない系。この車に乗り出して何度かのクラッチ操作によって知る「左足を踏み込む距離感」が半クラから完全クラッチミートを図る目安となる、といった感じ。

この部分もこの車が生粋なスポーツ車でない証左であろうか。というか、これもFFのMTとして構造的限界、といいうか求めすぎか。というのもそのスジでは絶賛系のスイフトスポーツであったからね。

これらの点は、前述のシフトフィールと同様、30年ほど前に生まれて初めてFFのMT車をドライブしたときのことを思い出した。それまではMTはFRとミッドシップ、それにコラムシフトのセダンとワンボックスの商用車、フロアシフトの軽トラ、トラック、生コン車しか乗ったことがなかったのだが、FFのMTの、シフトやクラッチのグニョグニョ感に驚いたものだ。こんなでよく平気で運転できるな?!と。それは今でも変わっていないということだ。が、実用上全く問題にならないのだろう。

ま、ただしトラック系のフロアシフトのレバーはその昔とことん長かった。どうしてもグニョグニョはしてしまう。本当にフロアからにょっきりと手元までレバーが伸びていたからね。しかしそのにょっきりのレバーを操作してギヤが入るポイントを探り出す操作感が職人技的でどこかスポーティーでさえあったのだ。

エンジンフィール

これは良い。もしかしたらNA1.6Lクラスでは特筆モノかもしれない。さらにもしかしたら市販車で比べるものがないかも。

それに室内に入る音が良い。ジェントルな音質で静かな方だと思うが、この吹け上がり感はスポーツエンジンだと思う。これってバイクで培ったレース用エンジンのノウハウが生きていそうな感じ。(もうあれですよ、市販車最速の二輪車であるスズキ・ハヤブサなんて1.3Lなんだしね)

シャーシ・足回り

これはかなりかっちり感あり。乗り心地としてはかなり良しで、タイヤのプロファイル(45)に伴って多少の硬め感ありといったところ。これに関連してハンドリングも頼り甲斐ありでインフォメーションは十分。

まあしかし、試乗コースではこれ以上はわからずだが、このかっちり感はポテンシャル高げなのは明らか。四輪の接地感はかなりありそうだよ。

この車はシャーシーとエンジン命といった感じだな。シフトフィールやクラッチの感覚はもう乗用車としてそれなりに、という仕上がりなんだと思う。

スイフトスポーツ残念な点

シャーシと足回り、そしてエンジンはかなり良く作られた車な感じなのだが、スポーツ走行を考えたらノン・スリップデフはオプションとしてもあっても良いと思える。まあ、欲しい人はサードパーティーで勝手に付けてちょうだいということだろう。この点、スポーツ車というよりもやはりスポーティーな車、という範疇に収まる所以かも。

また普通のLSDでなく、このクラスの車であればESPのコントロールを利用した疑似LSDもありだろう。このあたり、コストをかけずにできると思うのだが。

それからスズキは何を考えているのかわからんラインナップをすることがある。この車はオプションでもSRSカーテンエアバッグが付かない。これはもう今時の車としては失格。

スズキの重役達に聞きたいが、あなたの身内を車の後席に乗せるとしたら、カーテンエアバッグあり/なし、どちらの車に乗せたいか?

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