天川管理釣り場2015年10月6日
かなり久しぶりの天川釣行。春に三回行ったきり、やっとこさ今年四回目の釣行となる。この程度でフライフィッシングをしていると言えるのだろうか、我ながらはなはだ疑問だ。
- 気温;午前8時頃 10℃ 午後4時頃 17℃
- 水温:午後4時頃 13℃
- 天候:晴れ時々曇り(ほとんど晴れ)
漁協の情報では「平水」となっているが、いやいやそんなことはないかなりの渇水である。
漁協事務所の移転
さて禁漁期の恒例、天川管理釣り場、漁協の場所が村役場近くに移転。そういえば写真を撮るのを忘れていたが、ログハウス風の建物になり、以前の事務所然としたプレバブと違ってフレンドリーな雰囲気である。
午前7時45分、漁協前に着くと先客らしい車。しかしそれはベンツEクラスのセダン。まさか釣り人じゃないわな、と思ったが、いや、初老のルアーマンのようだ。しかしセダンはいかん。何か所帯染みている。そして僕はそのセダンの後を追ってポイントに入ることになるが、さすがに遅い、ベンツの運転。
このお客さん、天川は初めてだろうか。道を知っていればもっとさっさと走っていくだろうに。
ポイントに入る
さて、最初に入るポイントは決まっている。御手洗トンネルの上流にある大プール。そしてプールの直上には短くはあるが良い瀬が。この二箇所でその日の魚のコンディションについて傾向を知ることができる。
が、水が少ない。今年はちょと前までよく雨が降っていたのだが、三、四日も経つと平水以下になっている。天川に通うようになってからもう六、七年になるが、どうやらだんだんと水量が減っているように思われる。ある年など多大な被害を出した大雨が降ったりもしたが、全体的には水量が減っているのではないか。
そうだ、ここまで減水している天川は今までに見たことがない。あったはずの流れがなくなり、所々に水溜まりが出来てしまっている。実質的にはポイントはどんどん減少していると思う。
ドライフライに出るかを試す
天気予報では最高でも10℃まで上がるかどうか、そして一日中曇りの予報であった。道すがら、頭の中では沈める釣りかと思っていた。いやいや、過去の例では気温水温共に5℃を切っても一発目からインジケーターに食ってくるという例があった。こればかりはやってみるまでわからない。ハッチやライズの有無だけではドライフライに出るか出ないかはわからない。
まあ、個人的にはドライだろうがインジケーターの釣りだろうがどちらでも構わないのだが、煩わしくないのは明らかにドライだろう。
しかしながら、少し不思議に思っているのは、養鱒場から運ばれてきた鱒たちでも水生昆虫を食いたがるということ。彼らは元々がペレット育ちのはずなのである。管理釣り場に放された鱒たちは、すぐに勝手に水生昆虫を食っているのが事実だが、 DNAに焼き込まれた本能としてもこれは不思議なことだ。まあ、生まれてすぐの哺乳類でも母の乳房を探すからなあ。
さてそして大プールでドライフライの一投目。
「バシュッ」と出たが乗らず。まあ反応はするということだ。使ったフライはファンシー系とも言える大きめの白っぽいパラシュート#12。こんな虫は飛んでいない。
しかしドライフライに出るのはこれで終わり。あとはうんともすんとも反応がなくなる。
時にはこんなフライ、スティミュレーター(#12)なども引っ張り出して魚の気を引こうと思ったがハズレだった。
とりあえず、やはり沈め系にインジケーターで行こうか。
にしきたトレーディングさんのインジケーターを試す
さてさて、せっかくだから試してみましょう。折り曲げ式接着の丸いインジケーターである。しかしこれがオレンジ色なんだが、できれば蛍光色にして欲しいところ。
実際に使ってみると、大きさの割に浮きが強いと思える。両面接着式であるが、コツがわかればティペット上で位置を変えることもできる。一度位置を決めて貼り合わせても「ピッ!」と動かし、好きなところで再びグッと押さえ込むと、そこで止まってキャスティングでずれることはない。
しかし、白断面なのが玉に瑕。ウエイトがあるフライとかガン玉でウエイトを足している場合には傾いて浮くことになり、白断面が目立ってオレンジ色が分かりづらい。
それでもまあ実用のうち、キャスト自体には意外に問題にならず。
そういえば、蛇足ながらにしきたトレーディングさんの「リーダーストレーナー&クリーナー」を使ってみた。
これのリーダーストレーナーの方、結論としては柔らかすぎるせいか摩擦が足らずに使い物にならず。どうしたもんだろう。
ま、今回の相手がVARIVASのオールパーパス12F 4Xというリーダー。これはもしかするとかなり手強くクセが取りにくい可能性がある。
プール直上の瀬に入ってみる
水量がないせいで、程よい流れというのが大変少ない状況。瀬があってもほとんど浅いトロ瀬である。しまいにはそれが更に減水してせき止められて水溜まりだ。
良い流れの瀬があれば元気で食い気のあるニジマスが入っているものだが、その瀬がなければかなり希望薄。水深50cm〜1mくらい、そして底石があれば申し分なく食い気があるニジマスの格好なポイントであるが、そんなのは皆無。
この、プール直上の瀬は元々がドライ用なポイントでもあるが、もはや魚がいられるほどの水量がない感じ。ここはダメだ。
こんなところでもっと水量があり、最深部で1mくらいあれば底石も豊富でかなりよく釣れるポイントである。瀬としてフライを流すのに程よい流れ。が、ここ数年は水が少なすぎ。ここに降りて撮影した画像が下に。
上の画像で左側中央にある山型の石。横に白い帯が入っているが、あれがそのまま平水時の水深と思っていい。現在はまあ大体、40cm程度の減水だろうか。
本日のニジマスポイントを探す
瀬にいなければ、プール。これに限る。というか、ここ数年、天川の水量が減ってからニジマスが着ける瀬が減っていると思う。もうプールしか魚の居場所がない感じである。
確かに、プールに居るには居る。しかし流れがトロすぎ、無風で鏡面のような水面だとほとんど食い気がない。ドライフライだろうが沈めたニンフだろうが、見に来るけれど食いはしないというケースがほとんどだ。
上のプールは風でさざ波が立っているが、これではまだ魚見えすぎ。底石が少なくほぼ釣れないポイントである。
また、天川の水がほぼジンクリアに近く魚丸見えなので近づけない。そんな関係で、半ばサイトで釣りをすることになることが非常に多い。サイトはサイトで楽しいが、見えない魚を出すという楽しみは少ない。
でもまあ、底石ありで魚が見えそうで見えないようなプールを探すしかない。あるにはあるのだが、ポイントはかなり限られる。
最初に取り付いた最もニジマスを掛けたのはこのようなポイント。岩をよじ登ってふと見ると大小取り混ぜ20尾ほどが上流へ頭を向けてわらわらとスクールしていた。流速として毎秒50cmほどだろうか。
画像手前の大石はよじ登るというほどの高さがあり、魚はその向こうの水中に。この大石からできるだけ自分の頭を出さぬよう、赤のエッグ+ゴールドビーズヘッドをインジケーターで流す。
ところが、このフライを見たニジマスたちは一目散に逃げ惑っているようだ。これはダメ。オープン日から連日、同じようなフライやルアーで叩かれまくっているからだろうか。
スレているときはやはりニンフか
そこで完全ナチュラル系のヘアズイヤニンフを。
すると、反応あり。だが・・・これが超微妙でインジケーターが消し込むようなアタリはない。フルフルフル、とかモゾモゾという動きである。魚がフライを全然引き込まないのだ。
がしかし、この微妙な変化を見てとって合わせることができた。とにかく合わせれば釣れるのだが、しかし、ウキの微妙なアタリを見るこの釣りは、まるでヘラ釣りではないか。何しに来たのかわからん。
だいたい、ニジマスをインジケーターで釣るときは「インジケーターがすぅっと沈み、ビシッと合わせ、グンと乗る」これが醍醐味だと思うが・・それがない。
ううむ、なんか違うがこれが見つけた釣り方である。
まあ、ニジマスは掛かってしまえばその引きは強力で楽しめることは楽しめる。25cmほどの大きさがあれば十分である。
このポイントでは同じ方法で5〜6尾の25cm程度のニジマスを釣っただろうか?ただし同じフライは2尾までが限界。すぐに見切られるようで、色を変えたりして繋いだ。
ちなみに、ニジマスの画像はいちいち撮影なし。珍しくともなんともないでしょう。
さて、大石をよじ登り、そして川を上がって行こう。
水が少ない分、渡渉は楽で打てないポイントはないくらいだが、しかしそのポイントが少ないのである。
流れがあればドライフライに出る
途中で出会ったフライマンと立ち話をする。僕は朝一にドライで出かけたけれどすぐに諦めて沈め、それもファンシー系フライはダメでナチュラルな物で幾つか取った話をした。
彼は一応ドライフライで、やはり厳しい、そして瀬に魚が入っていないと。
そうそう、魚が着ける瀬がなくなっているんですよね。
ましかしインジケーターで沈めてそこそこに釣れることが分かったので、あとはドライフライで釣れる魚を探したいところ。
底石があって、なんとか流れがある所。そして魚が見えない場所。流れ込みなどで水面に多少の荒れがあった方が良い。
まあ、上の画像のような所だろうか。ドライフライと言ってもどんな物に反応するか全く分からず、気温水温も十分であるが、何せハッチは皆無。ただライズはあるのだが、ニジマス特有に「意味不明」な感じのライズである。あれはどう見ても捕食のためのライズじゃない。
フローティングニンフ・竹田一号
何を食うか解らないときに使うフライはこれ。#16のIWI-S2000(VARIVAS)にダビングボディ、それに C.D.C.を付けだだけ。名付けて「竹田1号」。一個巻くのに3分かかるだろうか。これは超簡単な構造でパイロットフライとしても重宝する。フローティングニンフの形に分類されると思うが、何にも見えないが何にも見えると言うフライである。(それだけに結局なぜ食ったか判定しにくいが)
C.D.C.の巻き方として、僕の場合はストーク部分を使わずフリューのみを使っている。これは空気抵抗を少しでも低減する目的。
このフライは大分にあるフライプロショップWALKERのオーナー安部さんが動画で紹介していたのを発見した。これはかなり古い動画である。(キャプチャー はff media の2007より) WALKER
(後でわかったが、ショップ名はWALKER改めLandlockとなっている)
動画上のコメントによると「何を食っているかよく解らない時に使う」。まさにそんな時にはぴったりのフライで僕もこれに習って使うことにしている。
このフライはしかし、本当は誰にも教えたくないほどに重宝する。不思議に魚の反応(の有無)を得やすく、他にもっと複雑な構造をしたイミテーション系のフライがバカバカしく感んじられるほど。もしかしたらこのフライと、それからパラシュート、エルクヘアカディスの三種類さえ持っていればドライフライとしては事足りるかもしれない。
さてさて、そしてこのフライを結び、底石の上流へキャストすると一発目で「バサッ!」と出る。そんな強烈な出方をする必要があるのかというほどのライズである。ニジマスというのはわからん魚である。
約25cm程度のレギュラーサイズ。面白く引いてくれてひとしきり楽しんだ。
フライを乾かしてもうワンキャスト。これも「バサッ!」。条件さえ合えばドライで出るねえ。まあしかし小さいポイントでは2尾で終わりか。
ここまでくるのにトータル10尾は超えたと思う。
このあたりで一度昼飯のために上がろう。現在時刻午前11時30分。
管理釣り場の人々そして自分自身
朝一にベンツのお客さんと、そして僕が入るまでに三人。本日は合計で十名入っているだろうか。平日の好きな日に釣りに来られるのは自由業をやっているありがたみであるが、平日は帰り道の夕刻になると道がやたらに混むのが玉に瑕だ。
とりあえず飯の準備としてカップ麺用に湯を沸かす。荷物として持つのとセッティングがちょっとばかり面倒であるが、何か食った気分になるには何か温かいものが良い。冷たくなったコンビニ弁当だけではダメだ。まあ、カップ麺もどうかと思うが。
川べりの道の上、カップ麺をすすりながら、なおかつ川面を見る。ふと通りすがったのは年の頃なら70代だろうか、ベストの上にデイパックを背負った釣り人が歩いてくる。
もうかなりご年配なのだが、きっちりフライマンである。このような年齢になるまで釣りができることはなんと幸せだろうか。氏はブーツウェーダーを少し引きずって歩きつつ、谷の底にある川を見ている。
自分自身が70歳を超えてもまだこの川に来ているだろうか。岩をよじ下り、よじ登りして釣りをしているだろうか。ちょっと自信はない。
ベスト右上ポケットタブの上にウエスのようなビラビラが付いている。これは手に付いたシリコン系のフロータントを拭い取るための物。
飯を食いならが本日これまでの釣り、それから後の残りの釣りに思いをはせる。正直なところ、釣り場に来ると脳内が「戦闘状態」になっているのか、何を食ってもあまり味が解らない。
食い終わってからもっと休憩すれば良いのだろうが、すぐに後始末をしてすぐに出撃してしまう。仕事に対してもこれくらいに熱意が入ればかなりな成功者になっているかもしれないが、人生というのはうまく采配されはしない。
午後の釣りはドライを中心にしよう、しかし
沈めればまあまあ釣れることはわかったので、とりあえずドライで叩き上がろうと思う。
インジケーターをつけてフライを沈めるタイプのリグはキャスティングしにくいという点で不人気という話を読んだことがある。
しかしこれも考えようで、ドライフライの釣りでは一度釣れると必ずフライのメンテナンスが必要である。しかし沈める釣りは釣りっぱなしですぐにキャストができるというメリットもある。
また、ロッドのアクションによってはインジケーター&ウエイトのあるフライのキャストはほとんど苦にならない。
上の画像が僕がここ数年メインで使っているグラスロッドだが、これはワイドループでインジケーターをつけたリグでも楽々とキャストができ、キャストそれ自体でリーダーやティペットにトラブルを出すことは皆無である。
と、しかしそうこうしているうちにドライでは反応が取れなくなった。
ほとんど晴れの天候で時折の曇りの瞬間だけ魚の活性が上がっているようだが、とにかくかなり渋い。
仕方なくインジケーターの釣りに戻してポツリポツリといったところか。
そして午後になってもインジケーターのアタリは超微妙。はっきり言ってドライで微妙なものよりも難しいかもしれない。
全体の傾向としてやはり、何と言っても魚が居るところで水面が「平坦」すぎる。流れがないのだ。
今回の釣りでフライパッチに戻したフライはこれだけ。赤いエッグでは見事に逃げられ、ビーズヘッドの光り物付きのフライも渋い反応。手堅いのは完全ナチュラルなヘアズイヤーニンフといったところ。それも2尾釣っては色を変えるという繰り返しの1日だった。
午後四時を回って仕舞い支度を始める。本日はトータルで25尾ほど釣っただろうか。
そういえば、ニジマスは居ないだろうと思える浅い瀬で子アマゴが出てしまった。ニジマスは付いていないだろうが、いたらアマゴか、というポイントである。とりあえず禁漁期であるから、これは事故だ。
さて、次にここに来られるのはいつだろうか。11月に入ってからかな。