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川連ロッドその1・タックルとキャスティング

Kawatsura rod(川連ロッド)を振って思ったこと(その1)

Meetup Fly Fishing Fans OSAKA

フライフィッシャーによるフライフィッシャーの為のワークショップ Vol.1
テーマ:「あなたのタックルバランスを見直してみませんか?」
2018年3月4日

この集まりで Kawatsura Rod(川連ロッド)の試投ができた。

Kawatura rod

上の画像のタックルは渋谷氏が使用している物と同タイプという意味。実際にはリール込みで Flyfisher 編集部の方の所有物。渋谷氏の場合、もっと重いリールと組み合わせている。リールを含んだタックルバランスには後ほど言及している。

Kawatsura Rod とは、渋谷直人氏による漆塗りのバンブーロッド。氏が提唱するロングリーダー&ティペットの釣りのためにご自身が作っているフライロッドである。

タックルの目的

ロングリーダー&ティペットの釣りは、フライ先行でナチュラルなドリフトを得るために考えられており、なおかつ狙ったポイントにフライを落とすことが最大の目的となる。(そうでなくては話にならんだろう)

これを図解すると以下の通り。

リーダー&ティペット逆V字

fig1.はキャスティングを上から見た図。ロッドをスリークォーター気味に少し寝かせた状態でキャストすることで水平面の逆V字を実現する。(バックハンドでも同じこと)

これがうまくできると、フライは「ストン」と狙ったポイントに入る。決して「フワフワ」とノーコントロール状態にはならない。

舟型ループ

ループの展開を横から見た図。鋭い逆V字を作るために必須の舟型ループ。Kawatsura Rod はこれを作るためにあると言える。

このループ先端が逆V字のように鋭くはない「逆U字」になると、フライの落下点をコントロールしにくいことを書き添えておこう。目指すのはあくまでも尖ったV字である。

渋谷氏のキャスティング解説動画
「ロングティペットを扱うためのキャスティング・テクニック」

逆V字キャストの秘訣

逆U字ならラインの速度を落とし、フルターンするまでにリーダー&ティペットを着水させることによって実現できる。言うなれば、フルターンできないキャストでも形はなんとか作れる。(これではフライの落下点をコントロールしにくく風にも弱い)

しかし逆V字は、フルターンできるライン速度を保ったまま、フルターン寸前で着水させることでしか実現できない。だから、長いリーダー&ティペットでもフルターンさせることができるキャストが必要。

以上のことから、せっかくKawatura rod を使うなら、舟型ループによる鋭い逆V字を作れるキャストが必須である。

また、キャスティングそのもの以外に Kawatsura Rodの特徴として「巻き」を釣るときなどに入れる「ロールメンディング」のしやすさもポイントである。



これを渋谷氏の言を借りれば「ロッドに押せるような硬い部分が欲しい」という表現になるようだ。ロッドの中間部分(ベリー)にある程度のコシがあることが望ましいと推測される。

Kawatura rod 何名かの試投を見る

試投の当日、現場は文字通りの小春日和。多少の風があるにせよ、それは釣りの実践上としては普通にあり得る風速。そよ風程度である。

タックルセットは上の画像にあるように・・・

  • ロッド:7ft7in/#3
  • ライン:LDL#3
  • リーダー:LDL4X15ft
  • ティペット:6X 6ft

リーダー&ティペットで21ftとなるが、これがロングリーダー&ティペットの一般的なセッティングと言える。実際には技量、好み、目的に応じて各自が様々な長さで使う。

Kawatura rod 生まれて初めて握ってみたその感想

「おや?!これは軽い!!」である。

そしてちょっと振ってみるとブランクそれ自体の「ダルン」とした感じかまったくない。

このセットについているリールはかなり軽い方に分類できるが、想像していたバランスより、竿それ自体に持ち重り感がないことに驚いた。


僕の前に2名がKawatura rodの試投

お二方とも舟型ループが出せない。

基本的に、Kawatura rod の使い方として完全にターンオーバーできての上で逆V字の着水である。(完全ターンができないと、逆V字はまあ無理である)

しかしながらお二方とも普通のターンオーバーができないでいる。結果的にはせいぜいが力無い逆U字ができるだけで、フライがフワフワとあらぬところに落下してしまう。

ただし、このときティペットについていたフライは#14程度のパラシュート。ロングリーダー用に特に空気抵抗を抑えた巻き方の物でなく、ごく一般的な物であったことを付け加える。キャストの途中でパラシュートのインジケーターポストを縮めてみたりしがたが、結果は変わらなかったことも。



そして一人の方はラインスピードを稼ごうと、ホールを入れてみるが結果は変わらない。ホールしてもラインスピードがそれ以上には上がらないのだ。

ここ、渋谷氏の言を借りると「ロングティペット用のロッドはホールすることを前提にデザインしていない」と。

(いや渋谷氏がここにいるわけでなく、私が本で読んで知っているだけ)

そうそう、#3とかの軽いラインで舟型ループを作れるロッドはそもそもが柔らかめでホールがあまり有効に働かないのだ。また、下手なホールではアッパーレグの直線性が損なわれ、余計にラインの勢いが削がれるだろう。

いやいや、しかしお二方ともにフォームがそんなにおかしいわけでもない。むしろ私よりまともではなかろうか。

基本的なキャスティングはできているように見えるが、竿を生かし切れていないということか?

私の初試投 Kawatsura rod

いや、何のことはない、惨敗。前の二名様と同じ結果である。

舟型ループになっていない。なっていないので逆V字などまったく不可能である。

自分で投げてみると、思いの外ラインスピードが上がらない。舟型以前の問題でもありそうだ。

いやーまいった・・・

いやしかし、ロッドを持っただけで感じたが、本当に持ち重り感のないロッドである。カーボンから持ち替えても違和感がないだろう。

むしろ、渋谷氏が Kawatsura rod の代わりとして暗に勧めていたと思われるところの、僕が常用しているグラスマスターGM7734Lあたりよりもよほど軽い感じである。



ひと口に言えば、このKawatsura rod は僕のグラスロッドよりカーボンに近い感じがするくらいなのである。

しかし投げられない。どうしたことか??・・・

川連ロッドその2
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