ドライシェイクシリーズ(TIEMCO)
TIEMCOが誇ると言って良いほど世界的に有名らしい、ドライシェイクシリーズの使用リポート。
製品画像の一部はTIEMCOホームページのものを使用しています。
シマザキ・ドライシェイク
これはもうド定番と言って差し支えないフロータント。しかし私の場合はフライフィッシングに入門したときガーキのギンクばかりを多用しており、それで事足りていたためにドライシェイクを使い出したのはかなり後になってから。
これを使うきっかけになったのは、なんと現場に落ちていたものをそのまま拝借したのが始まり。
そして今ではCDCに関してはドライシェクが最も相性が良いと思っている。
キャップ裏のスポンジは部分付け用。なおこの画像ではキャップ上面にドライシェイク・プライマーの容器を貼り付けている。
CDCに対するドライシェイクは単に浮きだけの問題でなく、視認性の向上として非常に有効ではなかろうか。
もちろん、単純に全体を浮かせれば良いエルクヘアカディス、CDCカディスなど、ティペットがついたままのフライをボトルに入れ、カシャカシャ振るだけで高浮き満点のフライになる。
部分付けに関して
CDCクリップルなど、CDCのインジケーター部のみにフロータントを施したいことがある。このようなときにはドライシェイクのキャップ裏にあるスポンジを活用する。
この部分にCDCのインジケーター部を擦り付けることで、本体は沈んでインジケーター部だけで浮くように調整可能になる。
この細工をさらに細かく行おうとするなら後述するドライシェイク・ブラシが使える。
ドライシェイク・リフィル
これは使用にあたっての豆知識がある。ドライシェイクのボトルの内容物とリフィルは同じ物ではない。
元々のドライシェイクのボトルには単に「浮く粉」だけでなく、フライをボトルに入れてシェイクしたときにフライに粉を隅々まで付着させるためか、浮くため以外の別な配合物が入っているようだ。この配合物はTIEMCOの説明によると「インパクト粒子」といった表現をしている。
一方、リフィルの方は多少の粘りがある「浮く粉」だけが入っている様子である。
そしてリフィルのボトルの書き込みを注意深く見ると以下の一文がある。
シマザキドライシェイクの補充パウダーです。(中略)浮力が弱まってきたら適宜補充してください。
どうだろう、このリフィルは元のボトルのドライシェイクの分量が減ったから補充するのではなく「浮力が弱まってきたら」補充するのである。
だから、例えばドライシェイクの元ボトルをひっくり返して中身をぶちまけたとしたら、そこにリフィルの中身を突っ込んでも元には戻らないということである。
このあたり、リフィルの機能を再認識しておくべきだろう。また、元のボトルに入っている「インパクト粒子」も少しずつは消費されるだろうから、長く使ったドライシェイクは元のボトルごと新品に買い替えるのが妥当だと思われる。
ドライシェイク・ブラシ
これはドライシェイクの「部分付け専用」とした物。普通のドライシェイク容器での部分付けはキャップの裏のスポンジで行うが、こちらはブラシ専用の容器となる。
主たる用途はCDCへの活用になりそうだ。ブラシを使う利点として、CDCのフリューの細かい部分に丹念にドライシェイクを入り込ませることができ、かたまったCDCがあればそれをブラシですきながら作業できる。
補充時の注意
ところで、このボトルの内容物は「ドライシェイク」とイコールではなく、ドライシェイクの「リフィル」の方と同一と思われる。ハケで直付けするから「インパクト粒子」は必要ないわけだ。
だから注意点としてはドライシェイク・ブラシの内容物が減ってきたとしたら、そこにドライシェイクのボトルから中身を補充してはいけない。補充するならリフィルの方からである。
シマザキ・ドライシェイク・スプレー
浮きに関しては必要十分。粉そのものとしてはスプレーであるだけに一般のドライシェイクよりも細かい感じである。
これはTIEMCOでも人気商品のようであるが、いかんせん、高価である。またスプレーしたときに9/10は空気中に捨ててしまっていると思われるのでなおさら「無駄感」が大きい。そしてすぐになくなる。
それからもう一つ気になる点として、粉を定着させるための粘着成分が多すぎる気がする。とい言うのは、CDCに使って魚が釣れた後、再処理しようとしてもCDCがペタンコに糊付けされたような状態になることである。これは液体のフライ洗浄剤を使っても取れにくい。
さらに、このボトルはスプレー前によく振って中身をかくはんすることが必要だが、このときボトル内の鉄球(ガラス?)のカランカランという音がうるさくもある。山の渓谷で釣りをしているとき、これは場違いにうるさく感じる。
ドライシェイク・プライマー
ドライシェイクを施す前のフライに指で塗っておく。TIEMCOの説明によると「ドライシェイクの持続力を飛躍的に強化する」とあるが、正直なところそこまでの効果を感じたことはない。ちょっとはマシかという程度である。僕の場合はまあほぼお守り的なグッズと捉えている。少しの手間で精神安定できればそれでよかろう。
ドライシェイクシリーズの総合的な話題
非常に便利なドライシェイクシリーズだが、個人的には少しの、もしかすると大きな問題点を感じている。
フリーノット(ループノット)との相性
その一つがドライシェイクは「フリーノット」と相性が良くない可能性を否定できないことである。それはフリーノットではドライシェイクを使うとループ部分で破断が起きやすいと思われるからだ。これは特に6Xより細いティペットを使うとき頻度が上がる。
フリーノットではフックのアイに通ったティペットはループになっていて完全には締めこまれず、文字通りのフリー状態である。
フリーノット(ループノット)
しかしここにドライシェイクが付着した状態でキャストを繰り返し、そして魚が掛かって負荷がかかるとティペットのループ部分が破断する。(破断しやすくなる)
これはどうやらドライシェクに含まれる「定着剤」のような物、感覚的には「ロジン」(松ヤニ)のような硬い粘りが、フックのアイでティペットのループを摩擦していることが原因ではないかと考えている。
ノットそれ自体でないところで破断する様子の参考画像
破断箇所はノットそのものでなく、フックのアイとティペットのループが接触する部分であるから、ドライシェイクによる摩擦増加と考えるより他にない。
また、ドライシェク・スプレーではガス圧で剤が細部に入り込むこともあり、このループ破断の現象はなおさら起きやすくなると感じている。
ドライシェイクをフリーノットで使うときの対策
面倒であるが、アイの部分にあらかじめオイル系のペースト状フローターントを少し着けておくこと。これによってアイとティペットの滑りが確保され、後からドライシェイクを施してもティペット破断に至らない。
もっとも、ユニノットなどを使ってフックのアイに対してティペットが完全に締めこまれていればこの問題は起きにくい。
もちろん、ドライシェイクでなくシリコン型ペースト状フロータントではこの問題は起きない。