river peak フライライン"SHORT STYLE"の紹介
もくじ
ちょっと特殊なライン。日本の山の小渓流で釣りをしながら、時折出くわすプールでライズとり、こんなシチュエーションでこんなラインがあったらなあ・・・
それを具現化した感じ、だろうか。
SHORT STYLEライン パッケージ裏の解説
まずはパッケージ裏の解説を見てみよう。
「短時間のライズを一発のキャストで仕留める」をコンセプトとした極短ヘッドのWFライン。
5mという極短ヘッドだからこそ成せる、5m〜15mの短いレンジでのスピードキャスト。
リアテーパーまでわずか5f(約1.5m)なので、DTラインのような操作性も兼ね備える。
ロールキャストによる短いレンジでの釣り上がりにも最適。
通常規格のWFラインより1番手程度軽い設計の、近距離〜中距離専用ライン。
さらに色濃いヘッドのダブルWFなので、好みや状況に応じて入れ替えOK。経済的にもGOOD。
日本の小河川での使用において有効なデザインの、まさにSHORT STYLEなフライライン。
SHORT STYLEラインプロファイル
上のデータで"Head Weight"に関しては実際の製品パッケージとは数値が異なっています。正しくは下のデータを参照のこと。
SHORT STYLE 具体的な重さ
番手 | AFFTA規格重さg (先端9.14m) | SHORT STYLE重さgパッケージ表示 (先端5m) |
#1 | 3.9 | |
#2 | 5.2 | 4.2 |
#3 | 6.5 | 6.0 |
#4 | 7.8 | 7.3 |
SHORT STYLEでは確かに実測値としてAFFTA番手表示よりもちょい軽。しかし解説にあるように「1番手軽い」とは言い難い。
それと注意すべきは、AFFTA規格では先端9.14mの重さだが、SHORT STYLEでは先端5mのヘッド部のみの重さである。
先端5mにその重さが集中している・・・これを忘れてはいけない!
AFFTAフライライン規格:American Fly Fishing Trade Association Fly line Industly Standerds
SHORT STYLE 実際のキャスティング感覚
SHORT STYLE のラインでは指定番手よりも1〜2ランク重く感じる、と言うよりも明らかに重い。
手元にあるのは#3だが、実際にロッドに乗せると#4いや、#5かと言う感じ。(ぱっと見だってWFの#5くらいありげに)
いや実際に太短いヘッドなのである。パッと見ても当然「重いだろ」と思う。
端的に言って箱裏の解説「1番手軽い」とは逆な感覚である。
なので、#3のロッドに#3のSHORT STYLEラインでは、下手をするとロッドが負ける。
それが番手指定に敏感なロッドだとなおさらだ。
このラインを使うにはライン指定に融通が効きやすいロッドの方が吉。多くの場合、グラスロッドはこれに当てはまりやすいだろう。
逆に指定番手より柔らかめだったりするロッドで、それが特にチップアクションであると、簡単にロッドが負けてすぐにテーリングを起こすかも。
だから、悪いことは言わない、とりあえずSHORT STYLE の#3を使いたければロッドは#4が無難。
そう言えば、似たラインがLOOPにあった。あれはオプティ・クリークの#2と#3。それでもヘッド長が6.2m。(現在は廃盤になっている)
しかしLOOPの物は用途がアンダーハンドキャスティングに特化しており、#2と#3はその中でヘッドが最短な物。(ロッドはLOOP社が指定する番手のロッドでジャストフィットする)
このコーナー最後にひとこと。
もしもあなたが#3までのロッドしか持っておらず、そこに#4がないとすれば、#3のSHORT STYLEを入手して手持ちの#3ロッドで手に負えないとなるとお手上げになる。
悪いことは言わない、#3のロッドしかなければSHORT STYLEのライン番手は「#2」を強くおすすめする。
いやその前にそうまでしてSHORT STYLEのラインを使う必要性はどこに?
あるとすれば、箱裏の解説のようなシチュエーションだろうか。
SHORT STYLEラインの利点
とにかく、短いラインの垂らしで簡単にぶっ飛ぶ。そりゃまあ先端5mに重さが集中してりゃそうなる。
それとフロントテーパーが1.5mなので、ロッドの長さ程度のラインをロッドチップから出しておけば、ラインの自重でリール側にスルスルとラインが落ちてくることもない。
なので実使用としては、フロントテーパー部からベリーの一部をチップから出したまま、ピンスポットにフライを打ち込むことを繰り返す、こんな感じに使いやすい。
また、一般的なWFと異なり、ライン両端にヘッドがあるいわゆる DWF(ダブル・ウエイトフォワード)。これは経済的である。
が、しかし・・・
SHORT STYLEラインの欠点
端的に欠点は下の二つ
- ヘッド部が太いのでドラッグがかかりやすい
- 遠投するとすぐにランニング部が出てきてメンディング不能
なにせ太いヘッド部だ。水に着ければ見事に流れに持っていかれる。
TIEMCOのLDL(ロング・ドリフト・ライン)など、ドラッグ回避のために同じ重さで苦心して細いラインを作っているくらいなのに、単に太いヘッドのSHORT STYLEではそうは行かない。
それでも「ラインを極力水に着けない」つもりで釣り上がる。と言うか、そんなシチュエーションは実際にあるからなあ。
が、しかし・・・・
広めのプールを見つけてロングキャストしたとしよう。
ヘッド部が完全に飛んで行き、そして手前にランニング部の細いところが水に浮く。
これはちょっとメンディングできません。
ランニン部はさばけたとしても、そのエネルギーがヘッド部に及ばずだ。
と言えば、少し似ているLOOPのオプティ・クリークラインはどうかと言えば、やっぱりメンディングはほとんど捨てているようだ。
アンダーハンドのヨラン・アンダーソンが日本でデモの釣りをした時、阿寒川で#2のオプティ・クリークを使っていたが、ほとんど投げっぱなしでランニング部を時折メンディングしてる感じだった。
ちなみに、あの釣りではいわゆるロングリーダーの使用でドラッグ回避していた感じ。と言うか、アンダーハンドはリーダータッチのためにそもそも長めなリーダーなんだな。
SHORT STYLEラインを実際にリールに巻くと
SHORT STYLEラインの#3があるとして、それが一般的なDTやWFのラインと同等と見てはいけない。
ヘッドは短い代わりに太い。そしてトータル長さがなにせ100ft(30.48m)である。
実際にSHORT STYLEラインの#3をフルーガーメダリスト1492に巻いた状態が上の画像。ギリギリである。(そして太いヘッド部の様子がよくわかる)
これは無造作に巻くと収まりきらないことになる。
だからSHORT STYLEラインを使いたいなら、リールも一番手上の物を用意するのが無難。
または、このラインならセンターで二つに切ってしまっても構わない。そすれば、いつもの番手リールに必ず収まるだろう。
サンプルに使ったリール、フルーガーメダリスト1492は古くからあるリールでミッドアーバー。90ft(27.4m)のDT#3ラインを巻いて丁度良い感じに収まる。一般的にDTやWFのラインは90ftなのだが、なぜかriver peak製品のラインは他のシリーズも100ftである。
SHORT STYLEラインまとめ
さて、ざっとSHORT STYLEラインの特徴を書いてきた。
中でも最大のポイントは、ラインの重さに負けないロッドを用意することが肝心。予測としては多くの場合、ライン指定番手よりも1番手上のロッドを使いたくなるかもだ。
このラインは単にヘッドが短いのでなく、その短い範囲に重さが集中しているのだ。
これを念頭に置いて、自分が向かう現場にマッチするかどうかをよく判断いただきたい。
また、この記事を書いた後に見た販売ページの解説によると「ループを作っての遠投には不向き」とある。
確かにそうだろう。このラインを使うにはそのような覚悟他必要。
ちなみに、いつもの通りriver peakのラインはボビンを廃して廉価設定。空ボビンが必要な方は別売で用意されている。
しかし、個人的な結論から書きますが、日本の小渓流でヤマメ、アマゴ、イワナを狙うなら、信頼の置けるメーカー、これまでの実績のある製品としては「ティムコ(TIEMCO) SA プロフェッショナル ヤマメ」あたりがイチオシの結果となります。
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