川連ロッドその2

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川連ロッドその1

Kawatsura rod(川連ロッド)を振って思ったこと(その2)

川連ロッドその1では試投した三人が僕を含めて誰も舟型ループを出せないことを書いた。

試投した三人の内の一人は渋谷さんのレッスンに何度も参加経験あり。

何せレッスンを受けた方でもキャスティングはできないのである。その代わりにちょっとした証言を得ることができた。

「渋谷さんは竿がビュンビュン言うほどに振っているよ」

ラインスピードを得るために

あー、もしかしたら、できない我々のキャストでは単純に根本的にラインスピードを稼げていない。とっかかりはこれに尽きるのだろう。

それから良い舟型ループを出すにはフォワードキャストでの強烈なロッドストップが必須。

といえば、渋谷氏のキャストではフォワードキャストのかなり早い段階から「リストを閉じる」キャスティングをしている。

それから重要なのはバックキャスト時にすでロッドの胴から曲げ込むリストの使い方。

バックキャストを終了してフォワードキャストに移る時、すでにロッドがバック側にかなりしなっているのがわかる。

ううむ、できない組の我々は、どうやらロッドのパワーを出し切れるキャスティングになっていないだけのようだ。



僕の場合それに加え、キャストに力むに従って腕の振りの「面」が崩れることの自覚がある。そしてアッパーレグの直進性が持たれていない。

渋谷氏のキャスティング解説

上の動画ではタイトルに「グラスマスター渋谷直人モデル キャスティング解説編」とあるが、川連ロッドでも基本は同じだろう。

川連ロッドのキャスティングに関する質疑応答から

今回のワークショップでは質疑応答の時間があり、そのタイミングを使わせてもらって川連ロッドのことを訪ねてみた。

今回の集まりのお題が「タックルバランス」についてであるから、単純に以下のことから入ってみた。

まず、今回お借りした川連ロッドについているリールはかなり軽量なもの。一方、渋谷氏が実釣で使うリールは激重いタイプである。

試投ロッドDanielsson nymphW92g
渋谷氏実使用HARDY Cascapedia Mk III #2/3/4190g

なんとまあ、100g近くの違いではないか。

7.7ftほどの#3ラインといったスペックのロッドでは持った感じがかなり異なることだろう。

そこで、このようなリールの重さの違いがキャスティングにどのように影響を及ぼすか?これを試投ロッドの持ち主(FlyFisher編集部)の方に訪ねてみた。

その回答は・・・

「この軽い方のリールで渋谷さんに実際にキャスティングしてもらったことがあります。すると、渋谷さんは全く普通に自分のタックルと同じように投げてました。」

うぉ〜!、まいった。

なんのことはない。キャスティングができていれば、リールの重さによる違いが出ないのだ。ちょっとの差じゃなくて7.7ft #3のロッドで100gも違うリールなのに・・・

「リールの重さが違うからうまく投げられないのではないか?」

などと言う考えは素人の浅知恵、ゲスの勘ぐりなようだ。

リールの重さの違いでキャスティングの何が変わるか?これを考察した別記事を予定しています。

試投ロッドの持ち主による逸話

実は、今回試投させてもらった川連ロッドの持ち主氏のこと。氏もこの川連ロッドでうまくキャスティングできないことを自認しているそうな。

そこで氏は「このロッドで渋谷氏のようにキャスティングできないのは、そもそもロッドが不良品ではないか?」と疑ったらしい。

そして実際にそのロッドを渋谷氏に点検してもらったところ・・・

「何も問題ありません」

と言う返答だったそうな。要はキャスティングである・・・

Kawatsura Rod 7'7"#3 というロッド

現在、川連ロッドには様々なスペックの物が用意されている。

そして今回試投に使わせてもらったのが「7'7"#3」。このスペックに関して以下の解説が付いている。

Kawatsura Rod 7'7"#3

グラファイトから持ち替えても違和感の無いパリッとしたドライフライロッドです。キャストに自信のない方には7’9”よりは楽に扱うことができると思います。リニューアルによりさらに矢のようなループを楽に生み出せるようになりました。
川連ロッド・オリジナルアイテムより転載。

あー、そうか、最初に持ったその感覚が、いわゆるバンブーロッドにしてはかなり軽い感じがして、Danielsson nymphWのような軽いリールとの組み合わせでもそんなに違和感がなかったのは上記のようなことが影響してると思われる。

ちなみに、僕が常用しているグラスの GM7734Lは Kawatsura Rod 7'7"#3 よりも十分に持ち重りがして、振った感じも「ダルン」としている。



グラスの GM7734L は、僕の感覚としてロッドの弾性だけでなく、重さによる「慣性重量」でもラインを投げている感じが大きい。特にベリーあたりでラインを運ぶ感じである。

しかし Kawatsura Rod 7'7"#3 はよりグラファイトに近く、グラスのように慣性重量で投げている感覚がない。

当日、自前のGM7734Lを持参しており、すぐに振り比べてみていた。

バンブーの川連ロッドより十分に重く、ダルな感じ。しかしながら、慣れもあるのか、自流のキャストでなんとか舟型ループは作れるのだが・・・

インファンテ NSF (渋谷直人モデル)について

インファンテ NSF

当日、試投できたもう一つのロッドである。

インファンテ NSFは渋谷直人氏監修のロングリーダーティペット入門ロッドとされ、渋谷氏が求める竹竿のアクションに近いものを、もう少しイージーに投げやすくグラファイトで実現しようとしたもの。

こちらは8.1ftと、試投の川連ロッドより少し長い仕様。これに僕が持参してたリールとラインのセッティングで試投する。



これ、確かに川連ロッド的。僕のグラスGM7734Lよりもよほど川連ロッドらしい。一応はバンブーの Kawatsura Rod 7'7"#3 の方がグラフィト感覚で使えるように作られているにせよだ。

いやはや不思議なものだ。

こうなったら、素材の弾性云々もあるにせよ、どのように作ってどのように投げるのかが大変重要と思った次第。

いやー、奥深いロッドとキャスティングの世界。

舟型ループとロッドについての追記

尖った舟型ループがロングリーダー&ティペットの釣りでは理想だが、それがどう言うメカニズムで作れるかを考察しておく。

そうすればどのようなロッドがこのキャストに向くかどうかも見当がつけやすいだろう。

舟型ループ発生のきっかけ

fig1.は舟型ループが作られるきっかけ。

フォワードキャストで強いロッドストップを行うと、ロッドが下にたわんでループを押し広げる。

それだけだと単に広いループができるだけだが、舟型ループの生成では次のステップがある。

舟型ループ生成の瞬間

fig2.は下にたわんだロッドが元に戻ったところ。舟型ループ生成の瞬間である。

ロッドチップはラインを上に引っ張り、結果としてループ全体を加速することになる。これはあたかも「ホール」をしているような状態。

そして、ループには二箇所にロールするポイントができている。

ワイドループにかかわらず、意外に力強くラインが飛ぶのはこうした状況によると思われる。

どんなロッドがこれに向くか

上に見た通り、ロッドのストップによってそこそこにたわみ、ループを広げてくれることが必要。

これがチップアクションのロッドであると、思うようにループが広がらない。

また、チップアクションではロッドストップから元にもどる時のアクションが小さいために、二次的な加速も少ない。

そもそもがロングリーダー&ティペットの釣りではほとんど遠投を目的にしていないため、飛距離を伸ばせる狭いループは不要。むしろトラブルを避けるためにループは広い方が良い。



実のところ、かなり胴から入ると思われる私のグラス GM7734Lは意外にもリーダーやティペットがラインに絡むトラブルは少ない。

それに、インジケーターをつけたときのキャストでも同様。釣りが非常に楽になることもある。

また、ロッドストップによるたわみはロッドの自重で勝手になされ、同様にそれが戻る時も含めて慣性質量も大きいことがある。

そこで今回試投させていただいた Kawatsura Rod 7'7"#3 を見た場合、グラファイト的に軽く、ストップによるたわみ量が意外に少なめかもしれない。

よって、振りのスピードと強く正確なロッドストップが重要になる。



また慣性重量が比較的小さいために、グラスロッドのように自重によるアクションには大きく依存できないと想像される。グラファイトから持ち替えても大きな違和感がない代わりに、ロッドが勝手に仕事をしてくれる部分が少ない・・・と見た。

すると、 Kawatsura Rod 7'7"#3 を使いこなすには、何のことはない、やはりキャストの基本。

ロッドを曲げ込み、そしてストップさせるところはビシッ!とストップ。まずはこれしかない。

川連ロッドその1
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