ヤマメの魔法
湯川氏の桃源郷へようこそ
著者:湯川 豊(ゆかわゆたか)
出版社:筑摩書房
発行日:2014年4月25日第一刷
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美しい文章はいつも心を洗ってくれる。
本書のポイント
(本文より)
ヤマメの魔法にかけられて夕暮れの川を知るようになった。
(以上本文より)
前作夜明けの森、夕暮れの谷より約10年ぶりの随筆集。
美しい文章は前作と変わりなく、私としては続きがいつ出るのだろうと待ちわびていた作品。本書は雑誌に掲載されていた作品に大幅な加筆と修正が加えられたもの。
さすがに年齢を経て、イワナの夏に比べればやんちゃの度合いがなくなり、かなり落ち着いた内容になっていると思われる。その点、ある意味で釣りとしてのスリリングな部分が影を潜め、さりげない場面のさりげない描写が逆に味わい深くなっていると思う。
釣り、魚への熱望というものが薄くなり、めったに行けない釣りとしてもそれをがむしゃらに消費するという感覚はもうない。人生の一コマ一コマに、まるで当たり前のように釣りがあって、深呼吸するように釣りをするといった感覚を覚える文章。